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裁量労働制には、「専門業型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」があります。今回は、企画業務型裁量労働制について、解説いたします。
「企画業務型裁量労働制」とは、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務を遂行する労働者について、一定の要件のもと、実際に労働した労働時間数に関係なく、あらかじめ定めた一定時間を労働したものとみなす制度です。
すなわち、その業務の遂行に必要とされる時間を「8時間」と定めた場合には、1日8時間労働したものとみなされます。その場合には、極端な例ではありますが、企画業務型裁量労働制の要件を満たすかぎり、対象業務に従事する労働者が現実に12時間の労働を行ったとしても、4時間分(12時間-8時間)の残業代は支払う必要はありません(深夜残業代や休日出勤手当は除く)。
一方で、1日3時間しか労働しなかったとしても、8時間労働したものとみなされ、会社は、所定の8時間分の賃金を支払う必要があります。
なお、この企画業務型裁量労働制は、業務遂行手段および時間配分の決定において、裁量性の高い業務に従事するホワイトカラーを想定した制度であり、対象労働者は一定以上の知識・経験が求められます。
企画業務型裁量労働制を有効に実施するための主な要件は以下の通りです。
① 労働者が対象業務に就くこと
② 労働者が対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働
者であること
③ 労基法38条の4第1~7号の事項を、労使委員会が委員の5分の4以上
の多数により議決すること
④ 上記③の労使委員会決議を届け出ること
⑤ 労働者が個別に同意すること
⑥ 就業規則に企画業務型裁量労働制の定めを置くこと
▶要件①
企画業務型裁量労働制の適用を受けるためには、その労働者が、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析であって、当該業務の遂行手段および時間配分の決定において裁量性の高いホワイトカラー業務に就く必要があります。
事業運営に関する事項の企画・立案・調査・分析業務の遂行手段および時間配分等につき、労働者の裁量が認められる必要があり、例えば、上司の具体的指示もとに業務が行われ、業務の遂行方法や時間配分の点で対象労働者の自由が確保されていない場合には、企画業務型裁量労働制の適用対象になりません。
なお、企画業務型裁量労働制の対象業務として主に想定されるのは、経営企画・人事労務・財務・広報・営業計画・生産企画等に関する計画の策定業務です。
▶要件②
企画業務型裁量労働制の対象労働者は、「対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する者」でなければなりません。初めてその対象業務に従事する者につき、企画業務型裁量労働制を適用することはできず、ある程度の職務経験が必要です。
指針によれば、たとえば、4年生大学の新卒者が対象労働者に該当するためには、当該業務につき少なくとも3~5年程度の職務経験を経ることが前提になります。
▶要件③、④
労使委員会の決議という手続的要件が課されています。専門業務型においては労使協定の締結で足りるため、企画業務型の方が手続面で厳格に設計されています。
また、企画業務型裁量労働制を実施するためには、事業所単位で設置された労使委員会の委員の5分の4以上の多数決議が必要になります。
労使委員会で決議すべき事項は、以下のⅰ~ⅶです。
ⅰ対象業務
ⅱ対象労働者の範囲
ⅲみなし時間数
ⅳ当該業務に従事する労働者の健康・福祉を確保するための措置
ⅴ当該業務に従事する労働者からの苦情処理に関する措置
ⅵ労働者の同意を得るべきこと、同意をしなかった労働者に対し解雇その他
不利益扱いはしてならないこと
ⅶ決議の有効期間
ⅷ上記ⅳ、ⅴ及びⅵの同意に関する裁量労働者ごとの記録を、協定の有効期間
中および有効期間の満了後3年間保存すること
そして、その委員会の決議を所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。
▶要件⑤
企画業務型の特徴として、その適用につき対象労働者の個別同意が必要となる点があります。企画業務型裁量労働制を民事上有効に実施するためには、労働者の同意が必要になります。
▶要件⑥
企画業務型裁量労働制を労働契約の内容とするために、就業規則、個別の労働契約、労働協約に企画業務型裁量労働制の定めを規定する必要あります。
仮に、従業員に裁量労働制の該当性を争われた場合、裁量労働制の該当要件が細かいため、裁量労働者であることを否定されるケースがあります。この場合、会社は、否定された期間の残業時間分の残業代を、未払賃金として支払わなければなりません。
また、裁量労働制の対象となる従業員は、長時間労働になりやすい傾向にあります。そのため、従業員が、長時間労働が原因で精神疾患等を患った場合、労災対応や慰謝料請求をされる等のトラブルに巻き込まれるケースがあります。
裁量労働制の導入を検討する場合は、まずは裁量労働制の要件を入念に確認し、また、従業員が長時間労働にならないよう健康に十分に配慮した労務管理が重要です。
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