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社会保険の月額変更届(随時改定)について(2021.7更新)

社会保険(健康保険・厚生年金保険)「月額変更届」について、お伝えさせて頂きます。

昇給や降給などにより給与の額に変動があり、要件に該当した場合は、月額変更届を年金事務所に提出しなければなりません。

月額変更届は、従業員の社会保険料の計算や、年金事務所に納める社会保険料を正確に処理する上で、重要な手続になります。

社会保険料(健康保険料及び厚生年金保険料)の計算方法

まずは、社会保険料(健康保険料及び厚生年金保険料)の計算方法についておさらいをしておきましょう。

社会保険料は「標準報酬月額」に保険料率をかけて算出されます。

「標準報酬月額」とは、給料などの月額を区切りのよい幅で区分した額で、月額給与を「標準報酬月額表」に当てはめて、標準報酬月額を決定します。
以下の表は東京都の「標準報酬月額表」(令和2年度分)になります。

例えば、給与の総支給額(通勤手当も含む)が253,000円だった場合は、上図の「標準報酬月額表」に当てはめると、標準報酬月額は260,000円になります。
そして、健康保険料と厚生年金保険料は、以下の通りとなります。

■健康保険料:260,000円×9.87%(健康保険料率※)=25,662
厚生年金保険料:260,000円×18.300%(厚生年金保険料率)
=47,580

社会保険料は労使折半であるため、従業員が負担する保険料額は以下の通りなります。

■健康保険料は25,662円÷2=12,831
■厚生年金保険料は47,580円÷2=23,790 

40歳以上65歳未満の方は、介護保険料を含むため、料率は11.66%になります。

月額変更届とは

昇給や降給などにより、給与の額に大幅な変動があったときは、実際に受ける給与と標準報酬月額との間に隔たりがないよう、標準報酬月額の変更を行います。

これを「随時改定」といい、その手続を「月額変更届」といいます。

月額変更届の要件

月額変更届は、次の3つの要件のすべてに該当したときに行われます。1つでも欠ければ、届出は必要ありません。

① 昇給や降給等の固定的賃金の変動、または給与体系の変更があること

② 変動月から3カ月間の給与の平均額と、現在の標準報酬月額に2等級以
  上差が
があること

③ 変動月以後継続した3カ月の支払基礎日数が、いずれも17日以上ある
    こと

それでは、上記3要件について、詳細を確認してまいります。

要件① 固定的賃金の変動、給与体系の変更について

月額変更届は、「固定的賃金が変動」した場合や「給与体系の変更」が行われることを条件としています。

まず、「固定的賃金」とは、稼働や能率に関係なく、支給額や支給率が決まっているものです。具体的には、以下の通りです。

●固定的賃金:支給額・支給率が決まっているもの
       基本給、家族手当、通勤手当、住宅手当、役職手当、
                     固定残業手当など

一方で、残業手当や皆勤手当などの稼働実績に応じて支給されるもの(非固定的賃金)の変動のみでは、月額変更の対象になりません。

非固定的賃金・・・稼働実績などによって支給されるもの
                             
残業手当、皆勤手当、休日出勤手当、能率手当など

つまり、昇給や降給が行われたり、通勤手当や住宅手当等の毎月定額で支払われる手当に変動があったときは、固定的賃金が変動したことになります。

また、時給から月給へ変更したり、役職手当や家族手当等が新規で支給された場合も、「給与体系の変更」が行われたことになりますので、この場合も、要件を満たすことになります。

要件② 2等級以上の差が生じること

固定的賃金の変動月以降引き続く3か月間に受けた給与の平均の標準報酬月額と、現在の標準報酬月額を比較し、2等級以上の差が生じることが必要です。

たとえば、従前の標準報酬月額が240,000(健保:19等級、厚年:16等級)の人が、固定的賃金の変動月以降引き続く3か月間に受けた給与の平均額に該当する標準報酬月額が、280,000(健保:21等級、厚年:18等級)以上に該当すれば、2等級以上の差が生じたことになります。

要件③ 変動月以後、継続した3カ月の支払基礎日数がいずれも17日以上あること

最後の要件になりますが、固定的賃金に変動のあった月以後継続した3カ月の支払基礎日数はいずれも17日以上であることが必要です。

「支払基礎日数」とは、簡単に言うと勤務日数になります。
月給者の場合でいうと、
欠勤が1日も無い月は、暦の日数になります。
欠勤が1日でもある月は、該当月の所定労働日数から欠勤日を引いた日数になります。

この3カ月に、支払基礎日数17日未満の月が1カ月でもあれば、たとえ2等級以上の差が生じても月額変更は行われません。

具体例

標準報酬月額が240,000(健保:19等級、厚年:16等級)の人が、1月に昇給があり、1月・2月・3月の各月とも報酬の支払基礎日数が17日以上ある場合は、1月・2月・3月に支払われた給与の合計額を、その月数「3」で割って算定します。

280,300(1月分)289,300(2月分)292,4000(3月分)÷3
=287,333
円 ※円未満切り捨て
新しい標準報酬月額➡280,000(健保:21等級、厚年:18等級)

なお、月額変更に該当すれば、固定的賃金が変動した月から起算して4カ月目に新しい標準報酬月額に改定されます。
上記例でいうと、1月に昇給が行われたため、4月分から新しい標準報酬月額(280,000)に改定され、新社会保険料を計算することになります。

最後に

月額変更届は、固定的賃金に変動があったり、給与体系の変更が行われたるたびに、月額変更の対象者の確認をしなければなりません。
実務では、月額変更の該当者チェックを、毎月行うことになると思います。


給与計算ソフトなどで、月額変更の該当者の自動判定を行ってくれますが、自動判定が正確に行われているかのチェックは必ず必要です。該当者の賃金台帳を用意して、上記3要件を満たしているかの確認を行いましょう。

また、年金事務所の調査が入った際は、月額変更届の漏れは指摘の対象になります。場合によっては、社会保険料を遡及して納めないといけない事態となります。

月額変更の3要件をしっかり押さえて、月額変更届の手続を忘れず行いましょう!

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