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残業代をめぐるトラブル ~専門業務型裁量労働制について~

例えば、研究開発、システムエンジニア、放送番組の企画等の業務に就く人は、「裁量労働制だから残業代は必要ない…」とよく言われることがあります。

裁量労働制を導入している会社は多いですが、その分、裁量労働制に関するトラブル事例も少なくはありません。会社は、労働基準法上の「裁量労働制」の要件をしっかり把握した上で、労務管理を行う必要があります。


裁量労働制には、「専門業型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」があります。今回は、専門業務型裁量労働制について、解説いたします。

労働基準法に定める「専門業務型裁量労働制」とは

研究開発、システムエンジニア、放送番組の企画等の業務は、業務の性質上、会社が、業務の遂行方法や、時間管理が行えないため、労働者にその決定を委ねる必要があります。

そのような業務については、「労使協定」によって、協定で定める時間労働したものとみなすことができることとなっています。労使協定において、対象となる業務(下記記載業務)を定め、かつ、その業務の遂行に必要とされる時間を定めた場合には、実際の労働時間に関わらず、協定で定めた時間、労働したものとみなされます。

すなわち、その業務の遂行に必要とされる時間を「8時間」と定めた場合には、18時間労働したものとみなされます。その場合には、極端な例ではありますが、専門業務型裁量労働制の要件を満たすかぎり、対象業務に従事する労働者が現実に12時間の労働を行ったとしても、12-8=4時間分の残業代は支払われません。逆に13時間しか労働しなかったとしても、やはり8時間労働したものとみなされ、会社は、所定の8時間分の賃金を支払う必要があります。

このように一定の労働時間を労働したものとみなす制度を、労働基準法では「専門業務型裁量労働制」(労基法38条の3)といいます。

会社は、専門業務型裁量労働制を導入することで、従業員に何時間も残業をさせたとしても、残業代は支払わず、一定の賃金しか支払わなくて済むため、専門業務型裁量労働制を導入したがる傾向にあります(深夜残業代や休日出勤手当は除く)

対象となる専門業務型裁量労働の範囲

専門業務型裁量労働制の対象となる業務は、業務の性質上、その業務の遂行方法と時間配分の決定を大幅に労働者の裁量に任せる必要があるため、使用者が具体的な指示をすることが困難な業務として、労働基準法施行規則で定められた業務になります。同法施行規則第24条の2の第2項には、次の業務が定められています。

(1)新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務

(2)情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であってプログラムの設計の基本となるものをいう。(7)において同じ。)の分析又は設計の業務

(3)新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務

(4)衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務

(5)放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務

(6)広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)

(7)事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)

(8)建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)

(9)ゲーム用ソフトウェアの創作の業務

(10)有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)

(11)金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務

(12)学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)

(13)公認会計士の業務

(14)弁護士の業務

(15)建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務

(16)不動産鑑定士の業務

(17)弁理士の業務

(18)税理士の業務

(19)中小企業診断士の業務

これらの業務以外の業務は、専門業務型裁量労働に関するみなし労働時間制の適用対象になることはできません。

専門業務型裁量労働制が否定される例

対象業務に該当していない場合
専門業務型裁量労働制は、業務の裁量性に着目して労働時間みなしを認める制度であるため、対象労働者は上記専門的業務に実質的に従事していなければなりません。

よって、付随的、補助的業務のみを行う労働者は、適用の対象外になります。例えば、裁量労働者を補助する役割の助手、プログラマーなども専門業務型裁量労働制の適用を受ける労働者に該当しません。

また、別業務に就いた時間は労働時間みなしの対象となりません。したがって、対象労働者が別業務に就いたときは、会社は別業務に従事した実際の時間に応じて賃金を別途支払うことになります。


会社から具体的な指示を受けている場合
専門業務型裁量労働制は、「その業務の遂行方法と時間配分の決定を大幅に労働者の裁量に任せる必要があるため、使用者が具体的な指示をすることが困難な業務」が適用の対象になります。

したがって、業務について、会社から具体的な指示があった場合や、業務につきかなりのタイトな納期の設定をしている場合は、労働者の業務遂行の裁量性はかなり少なく、裁量労働制を否定される傾向にあります。


手続・要件を満たしていない場合
専門業務型裁量労働制を導入するための手続として、労使協定を書面により締結する必要があります。協定事項として、「協定の有効期間」を定めなければなりません。

行政通達によれば、3年以内とすることが望ましいとされています。労使協定の有効期間を徒過した場合は、裁量労働制の効果は以後生じなくなります。

最後に

仮に、従業員に裁量労働制の該当性を争われた場合、裁量労働制の要件を満たしておらず、裁量労働者であることを否定されるケースは少なくありません。この場合、会社は、否定された期間の残業時間にあたる賃金を、未払残業代として支払わなければなりません。

また、裁量労働制の対象となる従業員は、長時間労働になりやすい傾向にあります。そのため、従業員が、長時間労働が原因で精神疾患等を患い、労災対応や慰謝料請求をされる等のトラブルに巻き込まれるケースもあります。

裁量労働制を導入する場合は、まずは裁量労働制の要件を確認し、会社として運用できるかの検討と、従業員が長時間労働にならないよう健康に十分に配慮した労務管理が重要です。

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